
1 社会・治安情勢
2016年1月から10月までの月別殺人被害は,昨年の同時期と比べて4月を境に減少しておりますが,依然として高い数値を記録しており,10月末時点で,殺人被害件数は4,585人(15人/日,昨年比-1,037人)となっております。
2016年1月から10月までの月別殺人被害は,昨年の同時期と比べて4月を境に減少に転じ,10月31日の時点で殺人件数の累計は,4,585件となり,前年と比べ1,037件減少しました。
3月末,政府は一連の対青少年凶悪犯罪集団(マラス)特別措置(MEDIDAS EXTRAORDINARIAS)を発表後,マラスが収容されている刑務所(7箇所)に非常事態宣言を発令し,現在も厳戒態勢が敷かれています。
また,警察は軍の協力を得て,マラスに支配された地域の奪回作戦を実施しており,国家治安戦略「PLAN EL SALVADOR SEGURO」の中で指定され,犯罪が多発している最優先課題都市10市(サンサルバドル市/ソヤパンゴ市/シウダ・デルガード市/メヒカノス市(サンサルバドル県),コロン市(ラ・リベルタ県),サカテコルカ市(ラ・パス県),サンタアナ市(サンタアナ県),ソンソナテ市(ソンソナテ県),ヒキリスコ市(ウスルタン県),コフテペケ市(クスカトラン県))に展開しております。当初は10市だけでなく,最終的には50市にまで展開する予定でしたが,現在のところ,先行きは不透明です。
この奪回作戦により,マラスと治安当局との銃撃戦が各地で発生しており,これによりマラス側の死者は今年に入り500人を超えました。このため,マラスは治安当局に対する報復措置として,休暇中の警察官や飲酒中の警察官等を狙った殺害指示を出しており,日々,警察官やその家族,軍隊関係者も含め,殺害されています。この報復は警察や軍隊だけに留まらず,政府関係者や市役所,財界人等に波及していく可能性があります。
なお,目下のところ,当国における日本権益及び日本人に対する直接的なテロの脅威は確認されていませんが,全世界において,いつ,どこで,誰がテロの標的とされるかわからない危険な状態であり,当国においてもテロの標的となる可能性は排除されません。これらの犯罪に遭遇しないために,不要不急の外出は避け,仮に外出する際にも危険とされる場所には立ち入らない,テロの標的となるような多くの人が集まる場所には近づかない等,十分注意する必要があります。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
主要11犯罪(1月-10月)
(1)主要11犯罪別被害統計
2015年 | 2016年 | 前年差 | ||
窃盗 | 5,260件 | 5,121件 | -139 | (2.6%減) |
強盗 | 3,142件 | 2,881件 | -261 | (8.3%減) |
傷害 | 2,762人 | 2,169人 | -593 | (21.5%減) |
殺人 | 5,622人 | 4,585人 | -1,037 | (18.4%減) |
恐喝 | 1,924人 | 1,748人 | -176 | (9.1%減) |
車両盗難 | 1,694件 | 1,727件 | 33 | (1.9%増) |
車両強盗 | 1,312件 | 829件 | -483 | (36.8%減) |
強姦 | 260人 | 258人 | ―2 | (0.8%減) |
交通事故死 | 911人 | 971人 | 60 | (6.6%増) |
配送車強盗・盗難 | 178件 | 121件 | -57 | (32.0%減) |
誘拐 | 14人 | 10人 | -4 | (28.6%減) |
合計 | 23,079 | 20,420 | -2,659 | (11.5%減) |
2016年1月から10月までの主要11犯罪別被害は,昨年の同時期と比べて2,659件少ない20,420件(前年比11.5%減)となりましたが,車両盗難,交通事故による死亡件数は増加しました。
なお,車両盗難はマラスの資金源の一つとなっている他,盗難車両を利用した犯罪も多く行われており,路上駐車をした場合は,マラスの標的となる可能性が極めて高いため,警備員が常駐している駐車場等,比較的安全が確保された場所に駐車するよう心掛けてください。
(2)その他治安情報等は,在エルサルバドル日本国大使館ホームページ及び外務省海外安全ホームページに掲載していますので,こちらも参考としてください。